真空管アンプについて

真空管アンプについて

真空管アンプとは文字通り真空管を使用して増幅回路(アンプ)を組み、スピーカを駆動する装置のことです。では、そもそもアンプとはなんでしょうか。 アンプは、レコードやCDなどの音源から出た音の信号をスピーカーから鳴らすための回路です。 では、なぜそのような回路が必要なのでしょうか。レコードプレーヤーやCDデッキから直接スピーカーに繋いではだめなのでしょうか。レコードプレーヤーやCDデッキなどの音の信号は非常に小さく、直接スピーカーから音を流すことができません。どれくらい小さいかと言うと、イヤホンが鳴らせる程度なので、部屋中に響く音を出すことは出来ないのです。そこで、その小さな信号をスピーカーで鳴らせるように増幅する回路がパワーアンプというわけです。ミニコンポやCDラジカセなどは、全てがひとつになっている(オールインワン)のでわかりづらいですね。真空管のあと、トランジスタが発明され、さらにICが・・・というように、技術はどんどん進歩していきます。当然のことながら、作る側としては、性能(スペック)をよりよくしようと努めるので、特性を表す数値はどんどん良くなっていきます。遂にはデジタルアンプも 登場して、今では一般にも広まりつつあります。これらのアンプの中にはIC(半導体)が使われています。こちらの方が大量生産も可能なので価格も比較的リーズナブルになります。

デジタル全盛の現在において、なぜ真空管かと思われる方も多いかと思います。確かに真空管は日米欧では過去の技術といっていいでしょう。しかし、東欧やロシア、中国では今も生産が続いており、オーディオの世界では有る分野を確立しています。真空管とトランジスターを電子工学的に比較すればすぐに優劣はついてしまうでしょう。しかし、人間の耳というものは不思議なものです。超LSIやデジタル技術の粋を凝らした最新のアンプより昔ながらの真空管アンプの方が良い音がするという人が多いのも事実です。これは聞く音楽の分野に大きく関係するため何とも言えませんが、人の声やアコースティックな楽器には真空管アンプは合っています。音をよく知っている楽器の演奏家は、真空管アンプを所有し、よく聴いているそうです。また、意外かもしれませんがエレキギターのアンプはほとんど真空管を使用しています。ライブなどでエレキギターの演奏を聞いたことが有る方であれば、真空管アンプで再生されたエレキギターの音はびっくりするほど生々しく感じると思います。最近のデジタルソースの再生には真空管アンプのアナログ感が非常にマッチして、刺々しさがなくなり非常に耳に優しくなると思います。

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[the富士山]の特定波形
楽器や人の声に限らず、自然には様々な音があります。風の音や水の流れる音、車やサイレンの音など、私たちの生活は音であふれています。このような音には「倍音」という成分が含まれています。音には決まった周波数がありますが、基本となる周波数の他にその2倍、3倍,という整数倍の周波数による振動がいくつも発生しています。この整数倍の振動が出す音のことを「倍音」と言います。ヴァイオリンはヴァイオリンの音色、サックスはサックスの音色と判別できるのは、この「倍音」が含まれているためです。

音響機器の世界では「倍音」のことを「高調波歪み」と称しています。アンプで再生する音にも、高調波が含まれています。元々の周波数を基本波と言いますが、この基本波の偶数倍の周波数をもつものが「偶数次高調波歪み」、奇数倍の周波数を持つものが「奇数次高調波歪み」になります。「偶数次高調波歪み」は基本波とオクターブ関係にあり、聴感的に心地よい響きを与えます。一方「奇数次高調波歪み」は遥か高域まで徐々に弱まりながら出続け歪として耳につきやすく不快音として感じられます。

真空管はその伝達特性上、歪みとして耳につきやすい奇数次の高調波が少ない素子です。真空管で作られた回路は「奇数次高調波歪み」を打ち消し「偶数次高調波歪み」を強調するように働きます。「偶数次高調波歪み」はもともと楽器の音にも豊富に含まれる「倍音」の成分なので豊かな音に感じられるのです。反面「奇数次高調波歪み」が少ないことにより、不快で聴き疲れする音が少ないことになります。真空管アンプはこのような特性により、自然界の音、本物の音により近い音を発生することができます。

一方、トランジスタなどの半導体アンプは一般に奇数歪みが多いといわれています。従って、歪み始めるといきなり「音が割れる」という感じになってしまいます。また、歪みそのものを全て削減しようとするため、本来、自然な音が持っている「倍音」の成分までも消し去ってしまう方向にあります。

このように「奇数次高調波歪み」が少なく自然の音にもともと含まれる「倍音」の成分が多いのが真空管アンプの音の特徴です。「優しく」「暖かい」「リアルな」など感覚的に表現されることが多い真空管アンプですが、その理由は音の成分にあったのです。同じ価格帯の半導体アンプをブラインドテスト(A,B 2つの製品をランダムに変えながら、差が検知出来るかどうかのみを答えてもらう方法)した場合、差は検出できなかったが、真空管アンプと半導体アンプのブラインドテストでは有意差が検出されたという実験結果も報告されています。真空管アンプはイメージや先入観ではなく半導体アンプとは聴き分けられるものなのです。

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